旅行に行くなら、その国の歴史や文化を知っている方が、現地を見るにあたり学びが深まって良いと思う。
日本の学校では深い歴史を学ばない東南アジア。国によって違いも大きいので一記事で全てを書くことはできないが、旅行に行く前に・赴任する前にぜひ知って欲しい東南アジアの概要について書きたいと思う。


入門 東南アジア現代史
最初に紹介したい、東南アジアについて学びたい人におすすめの本はこちら。
シンガポールをもっとよく知るために読みたい本一覧で紹介した『物語シンガポールの歴史』と同じ著者による東南アジア全般の入門本。

こういうカバー範囲の広い本は偏りがあったり内容が薄くなたりしがちだが、広くまんべんなくカバーしながらも各国の基本的な歴史や背景について深く学べるので本当におススメ。







東南アジア比較表
上記の本にも載っていましすが、最新のデータで改めて比較表を作ってみた。

ここで分かって欲しいのは、東南アジアはとにかくバラバラということ。
先進国・キリスト教で統一されているヨーロッパと比べると、先進国・途上国入れ混じり、宗教も世界三大宗教のキリスト教・仏教・イスラム教が混在しているあたり、他地域には見られない多様性を持っている。
ASEANという地域共同体がありながら、EUの様な統合が進められないのも頷ける。

一人当たりGDPを見ても、日本($38,428)より格段に高いシンガポールと、次のブルネイが他国と桁一つ違う(先進国に分類される)。その他は発展途上国だが、その中でも発展が著しいマレーシア・タイ等と、開発が遅れているミャンマー・カンボジアなどでは、数字上違いが見られるだけでなく、旅行に行ってみても様子が随分異なる。

言語も宗教もバラバラ、旧宗主国(植民地にしていた国)も多様で、インドネシアやマレーシアの貿易の主要拠点は、各時代に覇権を握った人に次々に支配されている。(マレーシアのマラッカに行くとこの歴史がよくわかる。)
ちなみに言語に関して、シンガポールは建前上の公用語はマレー語だが、実質的な公用語は英語で、マレー語は話せない人が多いので注意。

(人口順)
国名 人口
(百万人)
面積
(千Km2)
一人当たり
GDP(USD)
通貨 主な宗教 国語 旧宗主国
インドネシア 263 1,811 3,847 ルピア イスラム教 マレー語 ポルトガル
・オランダ
フィリピン 105 298 2,989 ペソ キリスト教 フィリピノ語 スペイン
・アメリカ
ベトナム 97 310 2,342 ドン 仏教
キリスト教
ベトナム語 フランス
タイ 69 511 6,595 バーツ 仏教 タイ語 植民地化されず
ミャンマー 53 653 1,257 チャット 仏教 ビルマ語 イギリス
マレーシア 32 329 9,952 リンギ イスラム教 マレー語 ポルトガル
・オランダ
・イギリス
カンボジア 16 177 1,384 リエル 仏教 カンボジア語 フランス
ラオス 6.9 231 2,457 キープ 仏教 ラオス語 フランス
シンガポール 5.6 0.7 57,714 ドル 仏教・道教
キリスト教等
マレー語 イギリス
ブルネイ 0.4 5.2 28,291 ドル イスラム教 マレー語 イギリス
出典 世界銀行 https://data.worldbank.org/


欧米の植民地化
ヨーロッパ以外の地域で植民地化されなかったのは世界中で日本とタイだけ。(ただタイも経済的に搾取された歴史はある)
その他の国は残らず植民地化されており、その歴史が現代にも色濃く影響しているため、「どの国が宗主国だったか」は旅行をする上でも重要な情報だ。

シンガポールの有名ホテル・ラッフルズホテルは、植民地化のためにやってきたイギリス人・ラッフルズ卿にちなんだホテルで、病院や学校などでもラッフルズの名を冠する施設は多い。教育制度もイギリスをモデルにして作られているし、コロニアル様式というヨーロッパの建築技術とアジアの建築素材を組み合わせた様式の建物も多い。
その他にもホーチミンペナンなど、植民地時代にヨーロッパ人が建てた建物が観光スポットとなっている所は多い。

私の感覚では、やはりフランスに植民地化されていたベトナム・カンボジアはご飯が美味しくおしゃれなお店が多く、イギリスや他の国に支配された地域との違いを感じる。
ちなみにフランスが植民地化したカンボジア・ラオスでは、フランスが支配権を握りながらも実質的な開発を行わなかったため、前近代的な農村社会が温存され、それが現在の開発の遅れに繋がっていると言われる。


日本の侵略
日本では知らない人が、太平洋戦争終結直前に、日本はシンガポールをはじめ多くの東南アジアの国に侵略している。韓国や中国の支配に比べると短期的ではあったが、多くの人を虐殺するなど負の歴史を残しており、シンガポールの祖・リークアユーも日本人に殺されかけたと言う。

それでも外交問題になっていないのは、発展が遅れていたり小国が多い東南アジアで、少し前までアジア唯一の先進国だった日本という国と関係性を保ちたいから。
しかしシンガポールに住んでいると、日本人に対する歴史的なフラストレーションを持っている人は意外に多いと感じる。歴史そのもに対してというよりも、侵略しておいてそのことを知りもしない日本人に腹を立てているという感じである。
東南アジア全般で日本文化や食事は人気で、差別をされるようなことも無いし基本的には親日的な地域だと思うが、少なくとも歴史を学び、よく知ろうとする姿勢は欠かせないと思う。

ちなみにシンガポールのセントーサ島にあるシロソ砦には、日本に占領された時代の展示が豊富。


以上、参考になったでしょうか?
東南アジアはリゾートも多いのでその国の歴史や文化を忘れてただただのんびりしがちですが、事前によりよく地域を知ることで、より旅行が学び多いものにして欲しいと思います。