日本で話題の女性活躍推進。私自身、働く女性として大事な問題です。

世界経済フォーラム報告したジェンダーギャップ指数(2017)では、シンガポールは65位、日本は114位。女性が働く環境としては日本より格段に良いというのが私の感覚です。この記事ではシンガポールの家事・育児事情から、日本が学べることについて考えてみました。

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料理は趣味であって義務ではない

日本では料理が一通りできて一人前の女性という意識がまだ強いと思います。私は日本で一人暮らしをしていた頃からほとんど料理はしませんでしたが、日本人にそう話すと「結婚できないよ」などとよく言われました。

シンガポールは全く逆で、若い世代で料理をできる人は珍しがられます。では皆何を食べているかというと、外食・お持ち帰り・デリバリー・メイドが作るのどれかです。シンガポールは屋台フードを中心に外食産業が発達しており、どの店もTake awayと言って持ち帰りに対応しているので、仕事帰りに買って帰って家で食べるのが一般的です。またfood pandaやdeliverooなどのデリバリーサービスも発達しています。

日本ではシンガポールと比べると外食の値段は高めですが、共働き夫婦なら賄える範囲内だと思います。またお惣菜や冷凍食品の豊富さはシンガポールより日本が上です。にも関わらず、毎日手料理を作るのが良い妻・母親という価値観から、外食やお惣菜を利用しない人も多いのではないでしょうか。日本では女性活用と並んで働き改革が話題ですが、責任ある仕事をしていれば残業をしなければいけない日はどうしても出ます。そうでなくても、仕事で疲れて帰ってきてから料理をするのは、よほど気力と体力がないと続けられないと思います。毎日料理をするプレッシャーから女性を解放することが、女性活用への第一のステップだと思います。


家事アウトソースへの罪悪感なし

シンガポールでは、特にお金持ちの家庭でなくても住み込みのメイドがいるのが普通です。多くはフィリピンやその他周辺の途上国からの出稼ぎの女性たちで、料理・洗濯・掃除だけでなく子供の面倒も見ています。月8万円前後から雇えるので、女性が仕事を辞めて家事をするよりよっぽど経済的です。

日本ではここまでの環境は整っていませんが、私が日本がシンガポールから学ぶべきだと思うことは、家事は自分でやるべきという先入観を捨てることだと思います。シンガポールほど安くはないにしても、日本にも家事サービスは存在します。経済的に元が取れると考えるかどうかは本人次第ですが、それを怠惰だとか贅沢だという価値観の問題で否定するのは間違っていると思います。

子育てにに関しても同じです、日本人は、オムツ替えや料理などで面倒を見ることが親の役割という考えから、子供の成長に向き合い、楽しい時間を一緒に作るのが親の役割であるという考え方に転換するべきだと思います。自分で家事育児を全てこなしている日本人の中には、いつも忙しくイライラして子供ときちんと向き合えていない人もいるのではないでしょうか?シンガポールには、家事アウトソースで余裕ができた分、子供や家族との時間を大切にして温かい家庭を築いている人がたくさんいます。


男性の女性の仕事への理解の高さ

東南アジアの多くの国に言えることですが、経済発展のスタートが遅かった分、返って日本や欧米の様に専業主婦が一般的という時代を通過せず、最初から共働きを前提として経済成長を遂げています。シンガポール人男性にとってパートナーの女性が働くのは当たり前で、仕事の出張・残業・付き合いもある程度あることを理解しています。

私の勤めている会社は年に1回社員旅行があるのですが、日本人がよく驚くのは、小さな子供がいる女性社員もほとんど全員参加することです。子供はどうしているの?と聞くと、夫(またはメイドか親)が面倒を見ていると言います。女性が家を空けるときは、男性が面倒を見る。男性が忙しいときは、女性がサポートする。こうやってお互いを尊重しあってサポートできるから、シンガポール女性は気負わなくても働き続けられるのです。

日本でも男性の家事参画が注目されていますが、まだまだ家事育児は女性がメインで、男性が手伝う、というレベルが多いと思います。少なくとも私は、女性と同じレベルで家事育児を分担する気概のある日本人男性に会ったことがありません。今後、そういう男性が日本にも増えていくことを願います。

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両親のサポートが得られやすい

こればかりは日本で真似しようがないですが…シンガポールは端から端まで1時間でいける小さな国なので、実家が遠くて手伝ってくもらえないということがありえないのです。また文化的に子供が大人になっても親子の関係性があまり変わらないので、子供も親に頼ることに抵抗がなく、親と一緒に住んでいる人や、日常的に預かってもらっている人が多くいます。


産休・育休合わせて4ヶ月

シンガポールでは、産休・育休合わせてシンガポール人は4ヶ月、外国人は3ヶ月です。私も4ヶ月で復帰する同僚のシンガポール女性を見てきましたが、4ヶ月だと会社側も増員なしで何とか繋げますし、本人もそのまま同じポジションに戻れるので、育休によるキャリアへのダメージがほとんどありません。

メイドや親のサポートが受けにくい日本で4ヶ月は難しいと思いますが、例えば夫にも長期で育休を取って貰うなど、工夫できることはあると思います。また、一時期政府の施策でも3歳まで育休を取れるようにするという案が出ていたりと、女性にとって長く育休が取れる方がいいと勘違いしている人が日本には多いですが、それは本当の意味で女性のためになりません。私が最初に働いた会社は、子供ができると1年以上の育休、その後時短勤務もかなり長い間取ることができ、「出産後も仕事を続けている」女性は多かったですが、役職についている人や、重要な仕事を任されている女性はほとんどいませんでした。(この様なキャリアはマミートラックと呼ばれます)。長く産休を取れる環境を作るのではなく、できるだけ早く復帰できるようにサポートする方が、確実に本当の女性活躍につながります。


結論:働く女性を苦しめる価値観を見直そう

この記事で私が一番言いたいことは、日本の働く女性を苦しめているのは政府でも会社でもなく、人々の価値観であるということです。もちろんシンガポールのメイドの安さ、親のサポートの得られ易さなどは日本より恵まれていると言えますが、それ以上に、やろうと思えば日本でもできるのに、価値観によって選択を狭まれている部分があまりに多いと思います。

「女性はこうでなければ」「母親はこうしなければ」。こういう価値観が、本当はあまり重要でないことに時間と労力を割き、仕事をし家庭を営むという本来は当たり前のことを難しく複雑なものにしてしまっています。



この記事が、あなたが自分や周りの人を苦しめている価値観に気づき、見直し、日本で新しい価値観を広めていくきっかけになれると嬉しいです。